カミニシヴィレッジカミニシヴィレッジについて

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#01
たくさんの人々に共感されるストーリーのある場所。

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カミニシヴィレッジ ディレクター
大谷壮史
学校法人大藤学園

札幌市生まれ、厚別区育ち。北海道教育大学院卒。神奈川県にて幼稚園教諭として幼児教育の世界に入る。平成25年~30年まで認定こども園新さっぽろ保育園(現 認定こども園新さっぽろ幼稚園・保育園 保育園舎)の園長を司り、地域との関係性を深める。「良質な社会づくりは子どもに還元される最大の教育」と考えている。

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クリエイティブディレクター・
アートディレクター
メアラシ ケンイチ
株式会社エイプリル

企業・商品・店舗のブランディングをはじめ、ムービー、WEB、SNSなどを総合的且つ戦略的にデザインする㈱エイプリルを主宰。社名は、待ち遠しい春の陽や新しい季節の期待感から。おもしろくしたいこと、お困りのことがあるときに、思い出していただけますように。

地域の人たちの思いも受けて挑んだプロポーザル。

大谷
そもそもこのプロジェクト自体、プロポーザルの数年前から計画していて。実はこの前にも一度プロポーザルに参加しているんですよ、近くの小学校が廃校になった時に。でも、その時は残念ながらうまくいかなかった。
メアラシ
共通の友人が、悩んでいる壮史さんの相談に乗ってほしいといって引き合わせてくれたところから始まったんですよね。プロポーザルに向けた、札幌市に提出する書類作りから。
大谷
前回のプロポーザルでは、自分たちの思いをとにかく書き込んで、もう文字ばかりの提案書になっていたんです。明嵐さんにお願いして、思いを可視化することが大事だということがわかりました。
メアラシ
コンセプトを考えて、カミニシヴィレッジという名前を決めて、何といってもパースを作ったことが大きかったですね。誰もがパッと見てわかる未来予想図だったから。
大谷
あと、前回とはまったく違っていたのは、僕がすぐ近くの保育園の園長をしている時から常に地域の人たちとの接点を大事にしていたことです。
メアラシ
それは確かに大きい。そもそも地域との良い関係性を構築していなければ、地域づくりなんてできっこないから。
大谷
上野幌地域の人たちが、自分たちのことよりも「未来のために」「子どもたちのために」と口々におっしゃっていたので、これはもう大藤学園がやるしかないと。
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初期の未来予想図のパース
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初期の未来予想図のパース

当初からの「健康と生涯学習」というコンセプト。

メアラシ
最初にこの施設のブランディングを考えた時から、スポーツと生涯学習というキーワードがあったんですよね。壮史さんも生涯学習施設にしたいと言っていて。
大谷
その象徴としてプロスポーツチームのレバンガ北海道がいて、地域のスポーツ少年団もいて。フィジカルだけじゃなくメンタルも含めて健康であることが大事ですからね、生涯にわたって。
メアラシ
レバンガとの出会いも、壮史さんの知り合いの方からの相談からだったんですよね。練習場がなくて困っているっていう話を聞いて。
大谷
我々もレバンガも発展途上で、一緒に何かできないかというところからのスタートでした。だから結局、やっぱり人のつながりですよね。
メアラシ
学校法人が所有する体育館をプロバスケットボールチームに貸し出すというのはちょっと難しいんじゃないかという懸念を、壮史さんがクリアにしてくれて。
大谷
あくまでも認定こども園の子どもたちが最優先です。保育が終わった後に、地域を盛り上げるコンテンツのひとつとしてレバンガに貸しているわけなので、何も問題はないだろうと。営利ではなく、あくまでメインは子どもたちなので。
メアラシ
レバンガに貸すことができるとなって、まずそこからスタートしたんですよね。体育館が「スポーツと生涯学習」のシンボリックな場所になりました。
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記者会見の様子
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レバンガ北海道公式練習場

中庭に大きなシンボルツリーを植えたことの意味。

メアラシ
僕はアートディレクターなので、カミニシヴィレッジのシンボルについては突き詰めて考え抜きました。画像検索した時に、最初に出るのはどんな画なんだろうって。
大谷
地域とスポーツと子どもたちを結びつけるカミニシヴィレッジの顔になる部分なので、やっぱりシンボルが必要だよねという話になって。
メアラシ
それで中庭にシンボルツリーを植えよう、人が集まる象徴を作ろうと提案したんですが、壮史さんはあまり乗り気ではなかったですね、当初。
大谷
いまいち実感が湧かなくて(笑)。でも、カミニシヴィレッジがどんな場所であるべきかを考えた時に、やっぱり中庭が大切だということを再認識したんです。ここにシンボルツリーがあったら気になるし、写真も撮りたくなるし、みんなが集まるだろうと思いました。
メアラシ
たくさんの候補の中から、みんなで納得してメタセコイアを選べたのも良かった。「生きた化石」と呼ばれる木で、あとで花言葉を調べたら「平和」とか「楽しい思い出」で、まさに今の時代にふさわしいイメージだったという。
大谷
全国で廃校になる学校が多い中で、僕はどんどん発信していきたいんですよ。廃校をリノベーションした施設でこういうことをやってますよ、どうぞ参考にしてくださいと。その発信力がほしかったので、廃校を教育の場として再生させるシンボルがあるのはありがたいですね。
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過去に対するリスペクトと未来感のあるデザイン。

メアラシ
あと、デザインワークで大事にしたのは、これまでの歴史とこれからの未来を表現すること。カミニシヴィレッジのロゴも、過去に対するリスペクトを込めながらも未来感のあるデザインにして、すべてのモチーフに意味を持たせています。
大谷
上野幌西小学校の西という文字やシロバナエンレイソウというシンボルの花が入っていたり、会話する中で僕らの思いを全部汲み取ってくれて、それを表現してもらえたので、もうこれしかないっていう感じでしたよ。
メアラシ
カミニシヴィレッジは、子どもたちや地域の方々も含めて、価値観が違うたくさんの人が共にする場所ですから。ストーリーにどれだけ共感してもらえるかがポイントだと思って、スタンダードでフラットなデザインを心がけました。
大谷
教育環境を含めてもっと子どもたちのために熟考したことを発信していくべき立場にある僕としては、アウターとインナー両方のブランディングが必要だと思っていました。明嵐さんが提案してくれたのは、まさに思い描いていたデザインでしたね。
メアラシ
子どもの初期衝動と一緒で、こうだったらいいね、かっこいいよねという風に話し合いながらやっていたのが形になっていくのは感動ですね、やっぱり。
大谷
子どもたちの未来のために地域と連携しながらやっていきたいっていうビジョンを、最初に共有できたのが大きかったですね
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みんなと一緒に、みんなのために何かをやりたい。

メアラシ
だけど本当にめちゃくちゃ人が集まるんですよね、壮史さんの周り。人とのつながりを大事にしているからだと思うし、TOGETHERなんでしょうね、マインドが。
大谷
ただ単純に共存しているとかじゃなくて、本当にきれいごとかもしれないですけど、みんなと一緒に、みんなのために何かをやりたいんですよ。
メアラシ
ハーバード大学の成人発達研究にある「良い人間関係が私たちの幸福と健康を高めてくれる」という言葉、あれが壮史さんのベースだし、カミニシのアイデンティティでもあるわけですよね。
大谷
それを表現したのが「LIVE TOGETHER, LOVE TOGETHER.」というタグラインですよね。カミニシヴィレッジがどんな場所なのかすぐに分かるので、これはメッセージとしても活用したいと。
メアラシ
それで、カミニシラウンジにもこの言葉を掲出することにしました。もともと大きな彫刻作品が飾られていた場所に、それに代わるシンボリックなものがほしいと思っていたし。
大谷
それを見た人が、人とのつながりを大切にしようだとか、人に優しくしようだとか、人のために生きようだとか、ちょっとでも思ってくれれば、周りが幸せになると思うので。
メアラシ
それを補足するPOPみたいなものも含めてね。読んだ時に「なるほど、そういう意味か」ってしみじみ思ってもらえるのが理想です。
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どう使うかは自由なので、積極的に参画してほしい。

メアラシ
最初から明確だったのは、教育活動を通じて地域貢献することで、大藤学園の信頼が高まることがゴールであるということでした。ここを気に入ってくれた人が深く共感してくれるといいな、という長期的な戦略で考えているんですよね。
大谷
そう、共感なんです。みんなとつながりながら一緒に作り上げていきたいというのが、僕のもともとの思いですから。なるべくいろんな人たちに、それぞれの思いを抱きながら参画していただきたいんですよ。
メアラシ
近所の人たちに、カミニシヴィレッジをどう使ってほしい?
大谷
僕らはコンテンツや場所を提供するだけで、どう使うかはみなさんの自由なんですよね。むしろ、積極的に参画をしてほしいっていうスタンスで。この場所を使っていろんなことを展開する中で、多様な人たちが足を運んでくれると思うので、いろんな「やりたい!」をここで具現化してほしいと思います。
メアラシ
カミニシ主体のイベントや行事もやりたいですね。それをきっかけに来た人が、いろんな風に使えるらしいよとか、意外と敷居低いんだなとか、自分も行っていい場所なんだって、ちょっとずつ広がっていってくれるといい。
大谷
高齢者の方は、それを誰かのために活かしたいというニーズもあると思うんです。活躍の場をカミニシヴィレッジで見つけるというか、こちらとしても提供していきたいですよね。

すべては、生涯教育施設としての役割を果たすために。

大谷
我々が子どもを預かるのは、24時間のほんのわずかな時間です。だから家庭の子育て環境が一番大事で、そこを良くしていくことが本当の幼児教育だと思うんですよね。
メアラシ
そこから派生して地域が良くなって、社会全体が良くなっていく、これが結局子どもたちに還元されるっていう循環ですね。
大谷
そう、結局は地域貢献も社会づくりも、すべて教育が基本なんですよ。カミニシヴィレッジが生涯教育施設っていうのは、つまりそういうことです。
メアラシ
カフェでのランチの持ち帰りを計画したり、ランドリーを作ったっていうのは、そこに結びついてくるんですよね。
大谷
子育ての時間を捻出できたりとか、子どもにとっていい食を取り入れる機会があるとか、僕らがそれを提供することによって、親御さんが少しでも楽になったり、家でもそういうことを心がけようって思ってくれれば、それは一つの成功だと思っているので。
メアラシ
環境づくりですね。環境が子どもを育てる、そういう場であってほしいと思います。
大谷
まずはこの施設がグランドオープンして、そこから新たにいろんなものを作り上げていくわけですが、僕たちが思いついていないことを地域の人たちから教えてもらえるかもしれないと期待しています。
メアラシ
本当にできるだけたくさんの人に育ててもらいたいですね、カミニシヴィレッジを。
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カミニシヴィレッジという物語を、みんなで紡ぐ。

大谷
教育業界にいると、どうしても横のつながりってないんですよね。でもカミニシヴィレッジでは、外部の人たちと関わりながらクリエイトしていくということがやりたかった。
メアラシ
クリエイトにあたっては、語れることがたくさんあるほうが面白い。こっちはいろいろ提案したけど、最終的にすべて選んだのは壮史さんだし。みんなと共感しあって、ストーリーを共有して、そこがこだわりですよね。
大谷
こだわりぬいた感じをたくさん出せるっていうのはすごく武器になるので、やっぱりストーリーのあるものを選びたいと思ったんですよね。
メアラシ
たとえば椅子も、正直言うとカタログで選んだ方が早いし安いんだけど、それじゃ何も語れない。わざわざ椅子を見に東京に一緒に行って、なぜこの椅子がいいのかっていうことを自分の目で見て触って座って納得してもらうっていうこともやりました。
大谷
単にかっこいいっていうことじゃなくて、ちゃんと意味のあるものを提案してくれたので、こっちも納得するまで考えた上で選べたんですよね。
メアラシ
クリエイティブはローンチしたらいったんゴールだけど、事業としてはそこがスタートなので、これからが大変だと思いますが(笑)。
大谷
いや本当にね(笑)。でも毎日が充実していて楽しいですね。カミニシヴィレッジがどう育っていくのか、僕としてもすごく楽しみなんですよ。

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